社長コラム

銀製品を永くお使いいただくための弊社のこだわり

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銀製品を永くお使いいただくためには?

切断面をヤスリにて整えていきます
熟練の職人が銀板の切断面にヤスリをかけているところ

 

今年、東日本は日照時間が短く、ただダムの方の降水量は少なく水不足、西日本は猛暑日が続き、かなりお疲れモードではないかと思いますが、水分補給や適度な温度調整をして元気に過ごしてくださいね。

さて先日もある修理の問い合わせがあり、10年以上びくともしない場合は10,000円、今あるパーツを取れにくくすれば3,000円、しかし何年か先はまたこのパーツでは壊れてしまうと思うけど、どうなさいますか?とお尋ねしたら3,000円でというお返事でした。私は先々を考えれば、10,000円のほうが割安だと思いますが、何故こうなるのか不思議です。多分決定される方が、充分にご理解されていないのかなと考えるしかありません。

そこで今月は他からもリクエストが入りましたので、銀製の角型リングの製作時のお写真を撮り、弊社の製作方法やこだわり等を、それを元にご説明してみようかと思っております。

 

前回の記事「銀はなぜ貴重なのか?」

 

銀製角形リング、ポイントは「3枚の板」にあり!

他社様で製作した角型リングで、毎年名前を刻む際溶接部が外れてしまい、弊社でかなり多めにハンダを廻すのですが、基本木台にかぶせる物なのに、幾らか小さめに出来ているので外れてしまうようです。それに板厚が薄く押すとしなってしまうという根本的な問題が残ります。

多分銀材料が高いときに製作したのかもしれませんが、そこは安物買いの銭失いにならないよう見極めなければいけませんね。

製作した角型リング

 

木台の寸法を計測して罫書いている写真です。弊社の製作法は3枚の板で形成されていて、1枚はコの字型にして、残りの2枚は両サイドに貼っていきます。

またより永くご使用いただける最低限の厚みとして0.8㎜の材料(予算の関係で1.0を使用したかったのですが)にて製作しております。

木台の寸法を計測して罫書いている

 

折る部分の溝入れ作業です。

折る部分の溝入れ作業

 

罫書いた部分を鋸刃にて切断しております。

罫書いた部分を鋸刃にて切断

 

切断面をヤスリにて整えていきます。

切断面をヤスリにて整えていきます

 

溝入れ部分を折り曲げていきます。

溝入れ部分を折り曲げ

 

溶接ですは前述した他社さんは5枚の板を接着して製作しておりますが、弊社は3枚の板の接着面を90°にするのではなく、双方を45°にすりあわせ、少しでも接面を広くして強度を上げて溶接しております。これを専門用語で「しのぎ」と申しまして、木工用語では「とめ」を合せると申します。

これを天板4ヶ所と立ち上がり(台の高さ部分)4ヶ所、計8ヶ所、多めにハンダを付けていきます。この時火のあて方で平らな板に熱が加わることで反っていくこともあり、高い技術が必要となります。

 

ハンダ付け

 

溶接後、砥石を用いて研ぎます。これは2つの目的がございます。1つは傷を取る。もう1つはムラを取る。

そうでないと正面に自分の顔を写した時、かなり歪んでみえてしまうからです。だからムラが取れるまで砥石で研ぎ、最後に砥石の目では磨いた時、目が粗く平物の磨きは綺麗に上がりませんので、スミ研ぎして磨きます。この際銀材料の材質が970(銀97%、銅3%)を使用しております。これは純銀だと柔らかく強度面で問題が起きてきます。そこで磨いた際3%混ぜた銅がうっすら出てきますので、銀メッキ加工を施します。

スミ研ぎ
スミ研ぎによる表面処理

完成です。①に比べゆがみが少なく、また押しても反ってはきません。

完成品

 

弊社ではこのようにご予算に合せてご提案をさせていただいております。例えば弊社で製作しております銀製カップですが、どこかのコンペでご使用になるのであれば、少しくらい凹んでも、傾いても修理せずに使い続けるかと思います。ところがトーナメントの看板になるイベント用記念品ゴルフ場の4大競技用のカップは、すぐに修理されるかと思います。

何故?それをもらうまでのプロセスが違うからです。その為に努力されて頑張っていらっしゃるかたへの敬意です。ですから材料の厚みから違ってきます。これから50年以上ご使用されるのであれば、壊れにくい仮にイレギュラーが起きても何回か修理しても問題がないように製作しなければいけません。

ところが大きさだけしか評価の対象にない方は、何故そんなに差が有るのか。私は10年いや30年後、どちらがコスト面でお徳かを丁寧に説明して、そのうえでお客様に選んでいただいております。

一人前の職人はコストを下げる製作法ができますが、腕の悪い者はいくら予算を与えても品物が営業してくれる記念品は作成できないと思います。

今後も好評ならこのような企画をたててみようかと思っております。何か意見がございましたら聞かせていただけますでしょうか。

よろしくお願い申し上げます。

 

銀製品、表彰記念品のオーダーメイドのお問い合わせはこちらへ

表彰プラザ 問い合わせ-09

 


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